ナチュログ管理画面 キャンプ キャンプ 関東 夏のキャンプレポ2020アウトドア&フィッシングナチュラムアウトドア用品お買い得情報

Nomadでオートキャンプ

夫婦でマイペースに出撃しています

イタリア紳士との高貴キャンプ

イタリア紳士との高貴キャンプ

・・・小川の流れる里山のほとり。
凝りもせずベテラン曹長と男は
過酷な訓練に向かっていた。


0700現着。
男はいつもどおり安定の早起きである・・・。

サイト全景。

いつもどおり息も絶え絶え膨大な設営作業を終えた。
重労働のあまりダミージャグの出番すらない。

ほぼ同着だった曹長もさくっと設営を終え、
朝っぱらから「ブシュ!」っという

訓練開始のぐもった合図を連発していた。


・・・厳しい訓練に励んでいる様を隠すべく、
全力でグダグタしているように見せかけていた我々の前に
スラッとした体躯をした一人の紳士が現れた。
しかも洒落た手土産付きである。

白髪混じりの短髪から妙齢と推定。
瞳は深い茶色だが、長い鼻とホリの深い顔立ち。
上下デニム地のコーディネートに
品の良いアウトドア革ブーツ。

勘の鋭い男はハーフイタリアンだと直感したという。

さり気なく首にまいた赤いスカーフと
赤縁の眼鏡が似合う人間など、
地球上探してもイタリア男の他存在しないからだ。

「チャオ・・」
男がと言おうとした矢先、
「こんにちは」
この紳士から飛び出した流暢な日本語に驚いた。


このまま銀座を歩いても
ワイルド系伊達男として通じるレベルの、
いわば華麗なる都市迷彩服を着た彼が
曹長の同業H氏とのこと。


イタリア紳士H氏曰く、純粋日本人という。
これは諜報系部員が語る定石のストーリで
あることを男が知らぬ訳などない。
言語は訓練で学ぶことができるが、
ファッションセンスまでは隠せないのだ。
だが男は観察を続けるため騙されたふりをしていた。


すこし会話すると
このH氏の言動は常に穏やか、
ゆっくり優しく、あたかも相手を諭すような
高貴な紳士路線な事に気がついた。
笑顔一つとっても上品なのである。

・・・常日頃、でんがなまんがな、
ヒャッハーしているゲリラ達の
高潔路線とは根本的に何かが異なる・・・。

極めつけの品格の違いは車だった。


H氏の車はワーゲンビートル。

・・・フィアットではない。

銀座にドライブ・ショッピングにむかったはずだが
道に迷って里山についてしまったという、
我々の訓練を偵察するという真の目的を隠蔽するための
偽装演出なのかもしれない。

もちろんこのシナリオライターは即解雇だが、
ひたすらに緑に映える美しい赤には違いない。
油断すると前世紀の偉大な歌姫の歌詞が
脳内でプレイバックされていた。


非の打ち所のないおしゃれイタリア紳士H氏との
初回エンゲージメントに敗れ去った我々が、
最も厳しい午後のシエスタ訓練を終えたころ、

あたりの日は暮れていた。

我々は夕食をとりながら、

昼間一方的にやっつけられた報復として
イタリア紳士に一矢報いるべく
夜間表敬訪問急襲作戦を立案した。

・・・西部劇で窮地に追い込まれた
無辜のインディアンの発想と変わらない
この安易な夜襲が、
イタリア紳士氏からの歓待として
振る舞われた高級ウイスキー、
怪しく灯るビンテージランタン、

中型ウッドストーブから1mにも達する巨大な火柱、

1kgのモツと両手で抱えきれない量の空芯菜という、
あの昼間の高貴な紳士とはまるで思えない
野性的すぎる連続攻撃で
ある意味でフラグ通り
完膚無きまで返り討ちにされたことは
国家レベルの機密である・・・。

ゲリラたちは破れそうな胃袋を抱え
命からがら自陣に潰走したという。


翌朝。

いまにも泣き出しそうな空である。

イタリア陣地へ撤収報告。

紳士はゆっくりと楽しみながら撤収をしており、
急ぐ気配は微塵もない。
降雨に怯え撤収を急いだ己の
器の小ささとは対照的だった。

なんとなく視界にはいった鹿革敷物に置かれた
ビンテージランタンの淡い光が、
なぜだか男の目に眩しく映ったという。

足元の彼岸花が
この暑かった夏の終わりを知らせていた。

---完---


※この作品はフィクションです。
実在する個人団体に一切関係はありません。
多分。




同じカテゴリー(⛺オートキャンプ)の記事画像
黄金探しキャンピング③
黄金探しキャンピング②
黄金探しキャンピング①
サバンナ作戦
ベテラン曹長と駆け出し男の雨キャンプ③
ベテラン曹長と駆け出し男の雨キャンプ②
同じカテゴリー(⛺オートキャンプ)の記事
 黄金探しキャンピング③ (2020-11-11 19:25)
 黄金探しキャンピング② (2020-11-10 18:38)
 黄金探しキャンピング① (2020-11-09 19:54)
 サバンナ作戦 (2020-08-17 19:20)
 ベテラン曹長と駆け出し男の雨キャンプ③ (2020-08-03 19:04)
 ベテラン曹長と駆け出し男の雨キャンプ② (2020-08-02 19:01)



コメント
こんばんは(・ω・)

>「チャオ・・」→「こんにちは(流暢に)」
(≧ω≦。)丿彡
職場閲覧なのであまり笑わせないでください(笑

イタリアン紳士と思わせつつ周囲を安心させたところで1kgモツによる胃袋への破壊工作をこなすとはさすが諜報系部員さんですね(`・ω´・ ;)
ある意味、ヘカさんのメガネに曇りはなかったということでしょうか

しかし彼岸花の背景に彼岸花とかレベル高いですね
若干アンダーにして赤を飽和させずに写し取るあたりがさすがと言わざるを得ません(*゚ω゚ノノ゙☆

いたちいたち
2020年10月12日 21:49
ども!
はっ、早起き‼︎とな。
どの辺りの、どの辺についている口がそれを申しているのか、この目で確かめたくなりました(^^)
あれだけの物量による設営、とんでもなく大変だったであろうとお察しします。
荷台に何が埋蔵されているかも大分把握されていた様で、これで車検でやっと出会うというケースも少なくなる事でしょう。
まっ、冗談は置いておいて。
くだんのH氏の器の大きさには、目を見張るものがありましたね。
あくせくしない、好きとなったらどれほどでも。
生まれつきの「ぶっとさ」なのでしょう。
自らの器の小ささを浮き彫りにされた様で、H氏には図らずも「ええやん、楽しく生きていれば」という至言を教わった思いです。
しかし想定外のスケール感。
ほとほと参りました。

一輪駆動一輪駆動
2020年10月12日 22:19
はー、ミラノのあの子、今頃どうしてるだろうか・・・。
おっと失礼、昔に思いを馳せておりましたが、21時過ぎて職場でトグロを巻くいたちさんBuona sera!
申し上げるまでもございませんが、ヘカのイタリア語会話シーンは笑うとこではございませんので、あしからずでんがな。(←方言の誤用)
さて、イタリア伊達男は想定外に桁違いの強敵でした。ヘカメガネが曇っていたどころか、割られてました。(笑)
普通型紳士は早い目とはいえ夕食後の21時過ぎてから肉や野菜を1kg以上平然と焼きにかかるとかしないと思います。ヘカのような一般人からすれば十分タガが外れて見える曹長すらタジタジ。(笑)
流行りの自爆攻撃?とおもいきやイタリア紳士の体型は細身。米国戦車なみに燃費悪いのかしら(笑)。
現地はいつのまにか彼岸花が咲き誇る季節を迎えていました。というわけでイタチ家の庭に群生しているであろうラフレシアの写真をおまちしております(笑)

追記
もちろんイタチ家のみなさんの心の中ほどリアルではありませんが、ノロイさんはブログ経由でヘカの中に今も確かに存在しています。ヘカが生きている限り、ペットショップや街中でフェレットをみるたびに彼女の存在を感じるのだと思います。
もちろん、遠からずあっちで彼女と出会った時には、あの美しい白を激写させてもらおうと思います。イタチさんの悪口で大いに盛り上がりながら(笑)。

ヘカ&紅茶好きヘカ&紅茶好き
2020年10月12日 23:19
一輪兄貴、こんばんは!コメントありがとうございます。
文中の小さい小さいネタを的確に拾ってしまう兄貴の気苦労、誠に心中お察しします。(笑)
いったいどっちが関西地方の血が濃いかは、もはやいうまでもありませんね。(笑)
というような器の小さいやり取りしているから、
器のでかい貴族みたいなH氏に我々が束になっても敵わないわけですな・・w

・・・まずは言葉の訛りをとればよいのでありましょうか?
その程度、ばりばりの浜っ子やさかい簡単なことですわ・・・。

・・・あかんわ。(笑)

ヘカ&紅茶好きヘカ&紅茶好き
2020年10月12日 23:40
深紅のタイプ1にナルディのステアリング!決まってますねぇ…うっとり
空冷エンジンってなんであんなに格好いい音を吐くのでしょう

写真は相変わらず甲乙つけがたいですがタイプ1の美尻を舐めるようなローアングルがたまりません、木々の中に佇む構図!普通だったら車だけ撮りたくなるのに…ド変態め(笑)

TomoTomo
2020年10月13日 15:06
こんにちはー!

あれ?このビートルや彼岸花、どこかで見たような見てないような(^-^)
朝っぱらからブシュ!っといい感じww
自分やったら紳士どころかただの呑兵衛に、、、
紳士達の1キロモツに乾杯!ヽ(^o^)

yashiyashi
2020年10月13日 15:39
tomoさん、コメントありがとうございます。

お褒めのことば大変光栄です!(笑)
やはり車はリア低めからですよね。(笑)
窓越しのハンドルも雰囲気満点でした!

クマとジムニーのショットをお待ちしております。(笑)

ヘカ&紅茶好きヘカ&紅茶好き
2020年10月13日 19:35
yashiさん、コメントありがとうございます。
ビートルと彼岸花、先週どなたかがアップされていたかもしれません。(笑)

夕食済ませた後の21時超えてからの1kgモツに挑もうとする紳士は紳士なのか?
ただの正体不明の呑兵衛なのか?永遠の難題なのかもしれません。(笑)

ヘカ&紅茶好きヘカ&紅茶好き
2020年10月13日 19:40
こんちは!

すっっっかり遅いコメント失礼しますm(_ _)m

赤い彗星のようなイタリア紳士の登場ですか。
ヘカさんやベテラン軍曹をもってしても
太刀打ちできない涼やかな手練!?

・・・などと申しながら、
この夜の手練3人衆はごっつカッコええやん\(^o^)/

しかも相変わらずのニクい写真群!
僕などどれも太刀打ちできませんが、特に最後の彼岸花の写真。

先日、奈良の飛鳥路を自転車で走った際、
彼岸花をたくさん撮りましたが
どうやったらこんなドラマチックな表現が出来るのか!?
ニクい。ニクいわ!(´;ω;`)ブワッ
八兵衛八兵衛
2020年10月18日 12:49
ハチさんこんばんは。お忙しそうなところコメントありがとうございます!

ヘカを越後屋、曹長を悪代官とするならば
イタリア紳士は由緒正しい公家みたいなレベル。(笑)
なにかが根本的に違いました。
世の中には映画みたいな紳士って実在するんだとあらためて教えられました。
ハチさんも目視すれば、紳士が纏うオーラの色の違いがはっきり見えると思います(笑)

彼岸花?
ノクトンを買ってくれば一瞬で解決です。(笑)
追加5諭吉がお国から支給されたつもりで強気で参りましょう!(苦笑)

ヘカ&紅茶好きヘカ&紅茶好き
2020年10月18日 22:03
おはようございます。

レッドが眩しいビートル、
天幕、そしてキャンプグッズにヒガンバナ…
緑の中で映えますね!

そして私も、サクッと設営して
麦酒でくつろげるようになりたい…

eco2houseeco2house
2020年11月03日 06:57
eco2houseさん、コメントありがとうございます。
今回はなぜだか赤が目につくキャンプとなりました。(笑)

ノーシェフキャンパーになれば、圧倒的に設営が楽になりますが
そのスタイルでも楽しく過ごすためには味覚音痴という特殊技能が
必要になるように思います。(笑)
というわけでeco2さんには無理かもですね。(笑)

ヘカ&紅茶好きヘカ&紅茶好き
2020年11月03日 16:55
ヘカ様

おはようございます。
◯◯下では親しくしていただきありがとうございました。
あの場所がすっかり気に入って、その後も3回ほど訪れています。
当然ながらいつも探しますが、いらっしゃらず淋しい思いをしていましたよ。

ところが、、、ご報告です!
一昨日にベテラン曹長を発見しました(笑)。いつもの場所でした。
幕を変えて偽装されていたので通り過ぎるところでしたが、車が同じだったので見破ることができました。頭隠して尻隠さずとはこのことを言うのでしょう。

東北遠征を無事終えられて一息ついているのかと思いきや、新たな任務を遂行しなければならずお忙しいとのことでした。
そのためビールを飲みながらというわけにはいきませんでしたが、穏やかな日差しの下で東北話しを伺わせてもらいました。
ヘカさんをお誘いして3人でのキャンプを約束して別れました。

お会いできる日を楽しみにしています。

H氏
H氏
2020年11月16日 14:25
ヘカ&紅茶好き様

改めてブログを拝読させていただきました。何度読んでも楽しい文章には何かの才能を感じます。何なんでしょうね。

冗談でほめ殺し、からかわれているのは分かっています。もしかしたら、新たな戦術、作戦、二重スパイなど。

分ってはいるものの、お褒めの言葉ではしごに乗ってずいぶんと高い場所におります。くれぐれもはしごを外されませんよう切にお願い申し上げますと共に今後ともお付き合いの程宜しくお願いいたします。

イタリア紳士H。。。自分で名乗るまでになってしもうたぁ。。。
H氏
2020年11月16日 14:49
紳士殿、わざわざコメントありがとうございます!

あれ以来3回も彼の地に行かれているのですね!
知らぬ間に曹長以上の立派なキャンプジャンキーに成長されたようで
心からお悔やみ・・もとい、恐れ入りました。(笑)
ご近所ですからご一緒できることがあると思いますので、
その際にはよろしくお願いいたします!

ちなみにヘカは幼少期から
「はしご?あれは登るもんやない、誰かを登らせるためのもんや。」
と、地域全体から叩き込まれてきました・・・。
なんと過酷な地域文化。(笑)

ヘカ&紅茶好きヘカ&紅茶好き
2020年11月16日 22:09
ヘカ様

そうです。3回以上彼の地に行きました!

はしご!やはり登らさせていましたかぁ。これはしたり!そういう事もあろうかと降り用ロープを垂らしておいたのです(笑)

立派に成長したキャンプジャンキーより
H氏
2020年11月17日 09:00
H殿
なんと、いつのまにか降下ロープで!
あれ?では今、はしごのてっぺんで火消しよろしく舞っている人は!?
・・・曹長ですやん。いつのまに(笑)。

ヘカ&紅茶好きヘカ&紅茶好き
2020年11月18日 08:30
ヘカ様

わっはっは。私をあなどるなかれ!

しばらくは曹長の舞を楽しませてもらいましょう(笑)
H氏
2020年11月18日 11:48
ヘカさん、おはようございます。
ドゴン3について色々と教えてくださりありがとうございました。

昨日コメントを送信してから自分でも検索したんですよ。オランダ製品である事、ドイツ経由で購入された事、15mの風邪に耐えた事など拝読しました。自分が何より驚いた(感動)したのはポリコットン製である事でした。化繊100%と違い重量は増しますがコットン入りは結露し難く、火にも強いので良いですよね。ドゴン3を知っていたらニーモ ヘキサライト(ポリコットン)買わなかったかもしれません。

フレームもしっかりしているようで言うことないと感じています。「冬のポリコットンテント(ドゴン3+1)は快適なのか」も読ませていただきました確かにサイズ感も大きすぎずちょうど良い感じですね。

車中泊派でテント設営などの面倒くさいことがお嫌いなのがヘカさんなのかと思っていました。なんのなんの引き出しを多くお持ちなんですね。
H氏
2020年11月18日 11:51
H殿、こちらにもコメントありがとうございます。
もう一つのブログにお返事かいちゃいましたので、こちらはこのままとさせて頂きます!
よろしくお願いいたします。

ヘカ&紅茶好きヘカ&紅茶好き
2020年11月18日 21:14

上の画像に書かれている文字を入力して下さい

<ご注意>
書き込まれた内容は公開され、ブログの持ち主だけが削除できます。



削除
イタリア紳士との高貴キャンプ
    コメント(20)